インプラント

歯根破折はなぜ抜歯になる?抜かずに残せる方法はあるのか

歯根破折と診断され、そこで抜歯が必要かもしれないと言われた場合、「歯の根が割れていることは分かったけれど、なぜ抜歯まで必要なのだろう」と疑問に思いませんか?痛みがほとんどなく、今も噛めているのであれば、接着したり、割れた部分だけを治療したりして残せないのかと考えるのは自然なことです。

こんにちは。越谷レイクタウンの歯医者、レイクタウンデンタルケアクリニックです。

歯根破折でも、状態によっては歯の一部を残せる場合があります。ただし、治療によって残せることと、その歯を長く安定して使えることは同じではありません。

この記事では、歯根破折で抜歯を勧められる理由から、抜かずに治療できる可能性、保存する場合に考えておきたいリスクまで順番にお伝えします。

歯根破折で抜歯を勧められるのはなぜ?

歯根破折とは、歯ぐきの中にある歯の根にひびや割れが生じた状態です。歯の内部を清掃する根管治療とは異なり、歯そのものが物理的に割れているため、元の状態に戻すことは簡単ではありません。

特に歯根が縦方向に割れている場合、割れ目が細菌の侵入経路となり、周囲の組織にも影響が広がることがあります。また、感染を抑えられたとしても、割れた歯が噛む力に耐えられるとは限りません。

つまり、抜歯が検討されるのは、主に「感染が続くこと」「歯を支える骨が失われること」「安定して噛めないこと」という三つの問題があるためです。順番に見ていきましょう。

割れ目を通じた感染を抑えることが難しい場合があるため

歯根の割れ目が歯周ポケットとつながると、口の中の細菌が入り込み、歯根の周囲で感染が続くことがあります。

根管治療では、歯の内側にある根管を清掃し、薬剤や材料で封鎖します。しかし、一般的な根管治療だけでは、歯根の表面まで続く割れ目や、その周囲の感染部分を十分に処置できない場合があります。

症例によっては、接着材料を用いた治療や意図的再植によって割れ目を処置できることもあります。ただし、破折線の位置や範囲、感染の程度、周囲の骨の状態などによっては適応できず、治療後に感染や破折を繰り返す可能性もあります。

そのため、接着治療の適応がない場合や、割れ目の封鎖と感染のコントロールを長期的に維持することが難しいと判断される場合には、抜歯が検討されます。

炎症によって歯を支える骨が失われるため

歯根の周囲で炎症が続くと、歯を支えている顎の骨が部分的に失われることがあります。

歯根破折では、割れ目に沿うように深い歯周ポケットができたり、歯ぐきの腫れや膿の出口が繰り返し現れたりすることもあり、痛みが少ないからといって、周囲への影響がないとは限りません。

骨の吸収が広がると、その歯を支えにくくなるだけでなく、抜歯後にインプラントなどを検討する際の治療条件にも影響します。そのため、骨の吸収が進み、歯を安定して支えることが難しいと判断される場合には、周囲の骨への影響を抑えるために抜歯が検討されます。

治療しても安定して噛めないことがあるため

歯には、食事のたびにさまざまな方向から力が加わります。破折部分を処置できたとしても、残っている歯質が少なかったり、歯根の周囲の骨が失われていたりすると、被せ物を安定して支えられない場合があります。

また、噛む力によって破折線が再び広がったり、残っている別の部分が割れたりする可能性も考えなければなりません。

そのため、破折部分を処置しても長期的に安定して噛むことが難しく、再破折の可能性が高いと判断される場合には、抜歯が検討されます。

歯医者からの一言
抜歯を勧められたときは、「割れているから」という説明だけでなく、感染や骨の状態、残した場合に噛める見込みまで確認してみてください。

歯根破折でも抜かずに残せる方法はある?

歯根破折と診断されたからといって、すべての歯が必ず抜歯になるわけではありません。割れている位置や範囲、歯根の本数、周囲の骨の状態によっては、歯の全部または一部を残せる場合があります。

検討される治療には、破折した歯根だけを取り除く方法と、割れた部分を接着して歯を残す方法があります。どちらも行える条件が限られているため、治療内容と適応について分けて説明します。

割れた歯根だけを取り除く方法(ヘミセクション)

奥歯の中には、歯根が複数ある歯があります。そのうち一つの歯根だけが割れており、ほかの歯根と周囲の骨が良好な場合は、破折した歯根だけを取り除き、残った部分を利用できる可能性があります。

代表的な方法が、ヘミセクションです。
ヘミセクションは、割れた歯根と、それにつながる歯冠の一部を分割して除去し、残りの歯根と歯冠で歯を維持する方法です。

ただし、残った歯根だけで噛む力を支えられることや、治療後に清掃しやすい形を作れることが前提です。根が1本しかない歯や、複数の歯根に破折や感染が広がっている歯には、この方法を選べません。

破折した根だけを取り除くことが難しい場合に、もう一つ検討されることがあるのが、割れ目を接着する治療です。

破折した部分を接着する治療

接着材料を用いて破折部分を封鎖し、歯を残す治療が行われる場合もあります。

歯を残したまま割れ目を処置する方法のほか、一度歯を抜いて口の外で接着し、元の位置へ戻す「意図的再植」が検討されることもあります。

ただし、接着治療は、すべての歯根破折に行える一般的な治療ではありません。破折線の位置や長さ、感染の程度、歯の揺れ、残っている歯質などによっては適応できない場合があります。

また、治療直後に歯を残せたとしても、その状態を長く維持できるとは限りません。

歯を残すことが最善とは限らない

抜かずに治療できる可能性があれば、できるだけ自分の歯を残したいと思うのは自然なことです。

一方で、破折した歯根を取り除いたり、割れ目を接着したりしても、歯が治療前と同じ状態や強度に戻るわけではありません。

保存治療を選ぶ際には、「歯を残せるか」だけでなく、「再感染や再破折が起こらないか」「治療後も使い続けられるか」「周囲の骨を守れるか」という点も考える必要があります。

保存治療後も再感染や再破折が起こることがあります

接着した部分の封鎖が保てなくなると、割れ目から再び細菌が入り、腫れや膿が生じる場合があります。

また、残っている歯質には治療後も噛む力が加わります。特に歯ぎしりや食いしばりが強い方では、接着部分や別の場所が再び割れる可能性も否定できません。

再感染や再破折が起きた場合は、追加の治療で対応できることもありますが、状態によっては歯を残すことが難しくなります。

治療後に抜歯が必要になる場合があります

保存治療には、通院期間や費用がかかります。しかし、治療を受ければ必ず長期間歯を残せるわけではなく、経過によっては最終的に抜歯が必要になる場合があります。

そのため、治療前には、どの程度の期間使える見込みがあるのか、問題が再発した場合にどのような対応になるのかを確認しておくことが大切です。

保存中に周囲の骨を失うことがあります

歯を残している間に感染が続くと、歯根の周囲にある骨の吸収が進む、つまり歯を支える減っていくことがあります。

骨が大きく失われると、その歯を残しにくくなるだけでなく、後から抜歯を選んだ際のインプラント治療など代替案の選択肢に影響する可能性があります。

保存治療を行う場合は、症状が落ち着いているからとそのままにせず、定期的に検査を受け、感染や骨の状態を確認することが欠かせません。

歯医者からの一言
保存治療を検討するときは、治療が可能かどうかに加えて、残した歯をどの程度安定して使える見込みがあるのかも確認しておきましょう。

診断に疑問がある場合はセカンドオピニオンを

歯根破折は、いつもレントゲンに割れ目がはっきり写るとは限りません。噛んだときの痛みや腫れ、歯の揺れ、深い歯周ポケット、周囲の骨の状態など、複数の検査結果を踏まえて診断します。

そのため、診断の根拠や抜歯を勧められたが納得できない場合などには、別の歯科医師に意見を聞くことも当然の選択肢になります。セカンドオピニオンでは、破折している位置や範囲を改めて確認し、破折した歯根だけを取り除けるか、接着治療を検討できる状態か、周囲の骨や残っている歯質に問題がないかを見てもらいましょう。

ただし、目的は必ず歯を残してくれる歯科医院を探すことではありません。現在の状態を改めて把握し、保存治療を選んだ場合の再感染や再破折のリスク、抜歯した場合の治療方法まで整理したうえで、将来のお口にとって負担の少ない選択を考えることが大切です。

レイクタウンデンタルケアクリニックでは、抜歯が必要と判断された場合も、失った歯の部分だけを見るのではなく、周囲の歯や顎の骨、お口全体の状態を確認しながら、その後の治療についてご相談いただけます。

抜歯後の選択肢にはインプラントやブリッジや入れ歯もあります。当院では、カウンセリングと検査を通じて骨の状態などを確認し、患者さんのご希望と検査結果を踏まえながら治療方針を一緒に考えています。

インプラントの場合は、手術が必要ですが、当クリニックでは無菌領域を確保した個室のオペ室で行い、生体情報モニターで全身の状態を確認します。また、治療後は専門の歯科衛生士がケアを担当し、インプラントを長く使うためのメンテナンスをサポートします。

「本当に抜歯が必要なのか確認したい」「抜歯後にインプラントができる状態なのか知りたい」という方は、まずは現在のお口と顎の骨の状態を確認するところから始めてみましょう。

歯根破折と診断され、なぜ抜歯が必要なのか疑問に思っている方へ。抜歯を勧められる理由、抜かずに残せる可能性、保存治療のリスク、セカンドオピニオンや抜歯後の治療方法について解説します。

監修 レイクタウンデンタルケアクリニック 院長 伊藤 宏太郎

日本抗加齢学会専門医 / 日本補綴歯科学会会員 / 日本口腔インプラント学会会員 / 青葉臨床研究会会員 / 日本抗加齢医学会会員 / 日本抗加齢医学会専門医 / 抗加齢歯科医学研究会会員 / 鶴見大学歯学部非常勤講師

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