虫歯

虫歯の原因・症状・治療・予防まで|わかる総まとめガイド

虫歯とは何か?

虫歯の定義

虫歯は、歯の表面から内側へとゆっくり進行していく病気です。
医学的には「う蝕(うしょく)」と呼ばれ、歯の表面にあるエナメル質が酸で溶かされていくところから始まります。

この酸は、口の中の細菌が食べ物に含まれる糖を分解して作られるもので、特に、甘いものを食べた後にしっかり歯を磨かずにいると、細菌が活発に働いて酸をたくさん出してしまいます。
そうなると、歯の表面がだんだん傷んでいき、やがて穴があいてしまいます。

初期の虫歯には痛みがないこともありますが、気づかずに放っておくと神経まで進行し、激しい痛みが出ることもあります。

虫歯ができるメカニズム

虫歯は、いくつかの条件が重なることでできやすくなります。

  • 歯の質(もともとの強さ)
  • 細菌(虫歯の原因菌)
  • 糖分(食べ物に含まれる砂糖など)
  • 時間(汚れが口の中に長く残っている時間)

この4つの要素がそろってしまうと、歯の表面で「脱灰(だっかい)」という現象が起こります。
これは、歯からミネラルが失われて表面が弱くなることを意味します。

脱灰の段階で適切なケアをすれば、唾液の力などで再石灰化(元に戻ること)も期待できます。
ですが、そのままにしておくと歯の内側にまで細菌が入り込み、虫歯として進行してしまいます。

🦷 補足:
初期の虫歯は見た目では分かりにくいことが多いです。
だからこそ、定期的な検診で小さな変化を見逃さないことが大切です。

虫歯と歯周病の違い

虫歯とよく混同される病気に「歯周病(ししゅうびょう)」がありますが、この2つはまったく別の病気です。虫歯と歯周病は、どちらも細菌による病気ですが、影響を受ける場所や進行のしかたには大きな違いがあります。

比較項目虫歯歯周病
影響する場所歯の表面や内部(エナメル質・象牙質・神経)歯ぐきや歯を支える骨(歯周組織)
主な症状穴があく、しみる、痛む歯ぐきの腫れ、出血、歯がグラつく
進行の特徴初期は痛みが出にくく、進行してから気づくことが多い自覚症状が少なく、知らないうちに悪化しているケースが多い

虫歯と歯周病は、見た目や症状だけでははっきり区別がつかないこともあります。
そのため、どちらの予防もしっかり意識しながら、定期的に歯科医院でチェックしてもらうことが大切です。

虫歯の原因とリスク要因

虫歯ができる原因とは?

虫歯の一番の原因は、口の中にいる細菌が糖分をエサにして酸を作り出すことです。
その酸が歯の表面をじわじわと溶かし始め、やがて穴となって虫歯が進行していきます。

特に注意したいのは、甘いお菓子やジュースを頻繁に口にする習慣、食後すぐに歯を磨かずにいる時間が長いこと、さらには夜寝る前に何かを食べる習慣などです。
これらは、口の中に糖が残っている時間が長くなるため、細菌が活発に活動しやすい環境を作ってしまいます。

また、口の中がネバつきやすい、乾燥しやすいといった状態も見逃せません。
ここで関わってくるのが「唾液の働き」です。

唾液の働きが虫歯のリスクに関係する理由

実は、唾液には虫歯を防ぐためのさまざまな役割があります。
例えば、食後に酸性に傾いた口の中を中性に戻す「緩衝作用」や、歯の表面を洗い流す「自浄作用」、さらには溶けたミネラルを元に戻す「再石灰化」も唾液の働きによって支えられています。

ところが、唾液の量や質が低下すると、こうした自然のバリア機能が弱まってしまいます。
加齢やストレス、服用中の薬の影響、さらにはホルモンバランスの変化などが原因で、唾液の分泌が減ってしまうケースは少なくありません。

また、口呼吸の習慣があると、常に口の中が乾燥しやすくなり、細菌が増えやすい環境になってしまいます。
このように、虫歯のリスクは生活習慣だけでなく、体の状態にも大きく左右されるのです。

💡 補足:
「最近、口が乾きやすいな…」と感じたら、それは体からの小さなサインかもしれません。
虫歯だけでなく、歯周病や口臭にもつながることがあるため、早めに歯科で相談してみてください。

体質や生活リズムも、虫歯のリスクに影響します

虫歯になりやすいかどうかには、日々のケアだけでなく、体質や生活のリズムといった要素も大きく関わっています。

例えば、歯の質がもともとやわらかい方や、歯並びが複雑な方は、どうしても歯ブラシが届きにくい箇所ができてしまい、汚れが残りやすくなります。丁寧に磨いているつもりでも、虫歯になりやすい状態ができてしまうのです。

また、夜更かしや不規則な食事の習慣も注意が必要です。こうした生活リズムの乱れは、唾液の分泌バランスを崩してしまい、歯を守る力を弱めてしまいます。

さらに、1日に何度も間食をしたり、水分補給が甘い飲み物中心になっていたりすると、口の中が常に酸性に傾き、虫歯ができやすい環境がつくられてしまいます。

虫歯は、ある日突然できるものではありません。
ほんの小さな習慣の積み重ねが、少しずつ歯に影響を与えていきます。

「今日は疲れているから歯みがきはサッと済ませてしまおうかな…」
そんな日があるのも自然なことです。でも、ほんの1分、丁寧にケアする時間をとるだけでも、歯の未来は大きく変わってきます。

虫歯になりやすい傾向を知っておくことで、「何を気をつければいいか」が見えてきます。
無理なく続けられることから、少しずつ取り入れていきましょう。

虫歯の症状と進行段階

虫歯はゆっくり進みます

虫歯は、先述した通りある日突然激しい痛みが出るわけではありません。
多くの場合は、ゆっくりと、少しずつ進行していきます。

「ちょっとしみるかも?」と感じるくらいの段階では、すでに歯の内部で虫歯が始まっていることもあります。
気づいたときには思ったより進んでいた…というケースもめずらしくありません。

C0~C4までの進行段階

歯科では、虫歯の進行をC0〜C4の5段階に分類しています。
それぞれの状態と特徴を、簡単にご紹介します。

段階状態の目安主な症状治療の目安
C0表面に白く濁った部分がある(脱灰)自覚症状なしフッ素塗布・歯磨き指導などの予防ケア
C1エナメル質に小さな穴があくしみることがあるが痛みは少ない軽い削合と白い詰め物(レジン)で対応可能
C2象牙質に虫歯が達している冷たいもの・甘いものでしみる削って詰め物または被せ物で処置
C3歯の神経(歯髄)まで虫歯が進行ズキズキと強く痛む、夜も眠れないことがある神経を取る治療(根管治療)が必要になることが多い
C4歯の根だけ残り、歯冠部は崩壊している状態痛みがなくなる場合もある抜歯やブリッジ・インプラントの検討

💡 補足:
C3以降になると、神経を守るのが難しくなります。
早めの発見・治療ができれば、歯を削る量も少なく、治療の負担も抑えることも可能です。

自覚症状が出にくい虫歯には、特に注意が必要です

「虫歯といえば、ズキズキと痛むもの」──
そう思っている方も多いかもしれません。ですが、実際には、初期から中等度の虫歯(C0〜C2)では、ほとんど痛みを感じないことも多いのです。

例えば、C0やC1の段階では、歯の表面にわずかな白濁が見られる程度で、自分では変化に気づけないことも珍しくありません。
C2に進行しても、症状は「たまにしみる」程度で、つい様子を見てしまう方もいらっしゃいます。

けれど、こうした“痛みのない虫歯”こそが、気づかないうちに深く進行してしまう原因になります。
表面の小さな変化の裏で、実は虫歯が静かに広がっていて、気づいたときには神経にまで達していた──そんなケースは決して少なくありません。

もし「痛くないから大丈夫」と思っているとしたら、少しだけ注意を向けてみてください。
早期に見つけて対処できれば、歯を削らずに済むこともあるのです。

とはいえ、実際には気づかないうちに進行してしまっているケースも多く見られます。
そうした虫歯は、見た目以上に歯や身体に大きな負担を与えることがあります。

進行した虫歯が引き起こすこと

自覚のないまま虫歯が進行してしまうと、「強い痛み」や「歯の崩壊」といった症状が現れることがあります。

これは、虫歯がいわゆる「C3〜C4」と呼ばれる重度の段階に入った状態です。
そこまで進んでしまった場合には、歯の神経を取り除く「根管治療」が必要になったり、最悪の場合は歯を抜かなければならないケースも出てきます。

そして、影響はお口の中だけではありません。
例えば、しっかり噛めなくなることで食事のバランスが崩れ、栄養の偏りにつながることがあります。
また、慢性的な痛みや違和感が続くことで、気持ちが落ち着かず、ストレスを抱えてしまう方もいらっしゃいます。

歯は一度削ってしまうと、もとの状態に戻すことはできません。
だからこそ、虫歯が進行してしまう前に、気づいてあげることが何より大切です。

虫歯の治療法

虫歯の進行度によって治療は変わります

虫歯の治療方法は、進行の段階によって大きく異なります。
初期の段階で見つけられれば、歯を削らずに済むこともあります。
反対に、進行している虫歯は、歯の内部や神経にまで影響があるため、しっかりとした処置が必要になります。

初期虫歯(C0〜C1):削らずに済むこともあります

C0のようなごく初期の虫歯は、まだ穴があいていない状態です。
この段階では「フッ素塗布」や「再石灰化を促すケア」によって、歯を削らずに治すことができる可能性があります。

C1では、ごく浅い部分を少しだけ削って、白い樹脂(レジン)を詰めるだけで治療が完了します。
治療時間も短く、痛みもほとんどありません。

中等度の虫歯(C2):詰め物や被せ物で補います

C2になると、虫歯がエナメル質の下にある象牙質まで進んでいます。
この段階では、しみたり軽い痛みが出たりすることもあります。

治療では、虫歯に侵された部分をしっかりと削り、そのあとに詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)を装着します。
状態によっては、保険診療の範囲内で治療できる場合もありますし、見た目や耐久性を重視してセラミックなどを選ぶ方もいらっしゃいます。

重度の虫歯(C3〜C4):神経や抜歯の治療が必要なことも

虫歯が歯の神経(歯髄)まで達すると、ズキズキと強い痛みが出ます。
このような場合には、神経を取り除く「根管治療(こんかんちりょう)」を行います。
細かく複数回に分けて治療する必要があるため、通院期間も少し長くなります。

C4まで進行すると、歯の根だけが残り、歯全体を保存するのが難しくなることがあります。
その場合は抜歯を行い、ブリッジや入れ歯、インプラントなどの方法で失った歯を補うことになります。

レイクタウンデンタルケアクリニックでは、「痛みを抑えた虫歯治療」や「できるだけ歯を削らない治療(MI治療)」を行なっています。詳しくはレイクタウンデンタルケアクリニックの虫歯治療をご覧ください。

🦷 治療の負担を減らすために
虫歯が小さければ、治療は短く・痛みも少なく・費用も抑えられます。
だからこそ、「まだ大丈夫かな…」と思わず、早めに診てもらうことが大切です。

治療中は「これ以上進行させない」ことが大切です

治療中や治療後も、油断は禁物です。
治療した歯は再び虫歯になりやすい傾向があります。
とくに、詰め物のすき間や歯ぐきとの境目は汚れがたまりやすいため、毎日のケアが欠かせません。

  • 治療後の歯も、丁寧に歯ブラシを当てて清掃する
  • フロスや歯間ブラシで細かい部分の汚れも落とす
  • 定期的にメンテナンスに通う

こうした習慣を続けることで、治療後の歯も長持ちさせることができます。

虫歯の予防方法

虫歯は、きちんと予防すれば防げる病気です。
「痛くなったら歯医者に行く」という考え方から、「痛くなる前に守る」予防の意識がとても大切です。

日々の小さな習慣の積み重ねが、歯の健康を大きく左右します。
ここでは、今日からできる予防法をご紹介します。

毎日の歯磨き

歯磨きは、虫歯予防の基本中の基本です。
ただし、「ちゃんと磨いているつもり」でも、実は磨き残しが多いことは少なくありません。

まず、歯ブラシは毛先が細くてやわらかめのものを選びましょう。力を入れてゴシゴシと磨くのではなく、毛先を軽く当てて細かく動かすのがポイントです。とくに奥歯の溝や、歯と歯の間などは汚れがたまりやすいため、意識して丁寧に磨くようにしましょう。

歯磨きのタイミングは、朝と夜の1日2回が基本です。特に夜の歯磨きはとても大切で、寝ているあいだは唾液の量が減るため、口の中に汚れが残ったままだと虫歯が進行しやすくなってしまいます。

ただ回数をこなすのではなく、「どう磨くか」を意識することで、予防効果はぐっと高まります。

🪥 ポイント:
歯ブラシだけでは届かない場所には、フロスや歯間ブラシも取り入れましょう。
特に歯と歯の間の汚れは、虫歯の原因になりやすい場所です。

フッ素をうまく取り入れましょう

プラスで歯磨きの際にフッ素入りの歯みがき粉を毎日のケアに取り入れることも効果的です。
フッ素には、歯の再石灰化をサポートし、歯質を酸に強い状態に保つことで、虫歯を予防する働きがあるとされているからです。

市販の製品にもフッ素が配合されたものは多くありますが、成分表示を確認して、フッ素濃度が1,000ppm以上あるものを選ぶと効果的とされています。

さらに、歯科医院では市販品よりも高濃度のフッ素を使った処置が可能です。定期的に塗布してもらうことで、虫歯になりやすい部分を重点的にケアすることができます。

小さなお子さんの場合は、年齢や発育段階に合わせたフッ素ケアが大切になります。歯科医院では適切な濃度や方法を教えてもらえるので、気になる方はぜひ相談してみてください。

レイクタウンデンタルケアクリニックでも高濃度フッ素の歯磨き粉も販売していますのでお気軽にお声がけください。

日常のセルフケアとプロフェッショナルケアを組み合わせることで、フッ素の力をより効果的に活用できます。

食習慣も見直してみましょう

虫歯は、糖分を長く口の中にとどめることで進行しやすくなります。
甘虫歯は、糖分が口の中にとどまっている時間が長いほど進行しやすくなります。
甘いものを食べること自体が悪いわけではありませんが、「食べる頻度」や「時間帯」に気をつけることが大切です。

間食の回数が多かったり、少しずつダラダラと食べ続けたりしていると、口の中が酸性の状態になっている時間が長くなり、虫歯のリスクが高まります。おやつを食べるなら時間を決めて、一度にまとめて食べるようにしましょう。

食べた後は、なるべく早めに歯を磨くことも効果的です。
すぐに磨けない場合でも、軽くうがいをするだけでも口の中の糖分や酸を減らすことができます。

また、飲み物の選び方もポイントです。砂糖が含まれた清涼飲料水やスポーツドリンクは虫歯を進めやすいので、ふだんの水分補給には甘くないお茶や水を選ぶようにすると安心です。

日々のちょっとした意識が、虫歯の予防につながりますよ。

定期検診とクリーニングを習慣に

虫歯を予防するためには、日々のケアにくわえて、歯科医院での定期的なチェックやクリーニングも大切な役割を果たします。

とくに自覚症状がないうちに、小さな変化に気づいてもらえることは、大きなトラブルを防ぐ第一歩になります。
虫歯や歯ぐきの状態を確認してもらったり、歯石や着色を落とす専用のクリーニング(PMTC)
また、磨き残しのアドバイスや必要に応じたフッ素塗布などのケアも受けられます。

「治療のために行く」のではなく、「守るために通う」場所として、
定期的に歯科医院を活用していくことが、虫歯のない口内環境を保つうえで役立ちます。

💡 補足:
1〜3ヶ月に1回のメンテナンスが理想的です。
お口の状態や生活習慣に応じて、通院のペースを決めていきましょう。

虫歯治療ならお任せください

レイクタウンデンタルケアクリニックは越谷市レイクタウンにある唯一のデンタルケアクリニックです。院長をはじめ経験豊富な歯科衛生士、どんな悩みでも聞いてくれるスタッフが、家族のように親身になって相談できる歯科医院です。

ほんの小さな違和感でも、早めに見てもらうことで、大きなトラブルを未然に防げることがあります。
定期検診から虫歯の治療まで、気になることがあればどんなことでもお気軽にご相談ください。

監修 レイクタウンデンタルケアクリニック 院長 伊藤 宏太郎

日本抗加齢学会専門医 / 日本補綴歯科学会会員 / 日本歯内療法学会会員 / 日本口腔インプラント学会会員 / 青葉臨床研究会会員 / 日本抗加齢医学会会員 / 日本抗加齢医学会専門医 / 抗加齢歯科医学研究会会員 / 鶴見大学歯学部非常勤講師

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