【完全ガイド】予防歯科とは?メリット・具体的なケア・重要性を徹底解説
毎日の食卓で好き毎日の美味しい食事や、大切な人との会話。そんな日々の幸せには、お口の健康が欠かせません。しかし、虫歯や歯周病は気づかぬうちに進行し、自然には治らない厄介な存在です。
「これからも自分の歯で美味しく食べたいし、素敵な笑顔でいたい」
そう願うあなたに、ぜひ知ってほしいのが「予防歯科」という考え方です。歯科医療は「治療」だけでなく、トラブルを未然に防ぐ「予防」をますます重視するようになっています。
この記事では、
- 予防歯科って何?何のためにするの?
- 予防歯科ってどういうことするのだろう?
- 自分たちで予防歯科ってできるのかな?
- 予防歯科の費用っていくらいくらいかかるの?
といった疑問に、分かりやすくお答えします。最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
目次
予防歯科とは?「治療」から「予防」へ、考え方の変化
皆さんは、歯科医院と聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
もしかしたら「歯が痛くなってから仕方なく行く場所」「悪くなった歯を治す場所」といった「治療」のイメージが強いかもしれません。
そこで、ぜひ皆さんに知っていただきたいのが、「予防歯科」という考え方です。予防歯科が目指しているのは、治療の一歩手前、つまり「お口のトラブルが起こる前に、その原因になりそうなものを取り除いて、健康な状態をできるだけ長く守り続けること」です。
予防歯科のメリット
「予防歯科」が重要だと言われる最も大きな理由は、とてもシンプルで「虫歯や歯周病といった、大切な歯を失う原因となる病気のリスクを減らすことができるから」です。
ここからは、予防歯科に取り組むとどういったメリットがあるのかを具体的な例を3つに絞ってご紹介していきます。
メリット①: 虫歯や歯周病そのものを防ぎ、歯を守る
予防歯科の最大の目的であり、最も大きなメリットは、「歯を失う主要な原因である虫歯や歯周病の発症リスクを大幅に低減できる」という点です。これらの病気は、一度進行してしまうと元に戻すのが難しい場合もあります。
予防歯科では、歯科医院での専門的なクリーニングや検査、そしてご自宅での正しい歯みがきなどを通して、病気の根本原因となる細菌の活動を徹底的にコントロールします。これにより、そもそも病気になりにくいお口の環境を作り、維持することを目指します。その結果、将来的に歯を大きく削ったり、最悪の場合抜いたりするような深刻な事態を回避し、生涯を通じてご自身の歯で健康に過ごせる可能性を高めます。
メリット②: 万が一のトラブルも、ごく初期の段階で対処できる
どんなに丁寧にセルフケアを行っていても、お口の中は常に変化しており、ご自身では気づきにくい小さな虫歯の兆候や歯周病のサインが現れることがあります。
予防歯科の一環として定期的に歯科医院でチェックを受けることで、こうしたお口の微細な変化や初期のトラブルを、歯科医師や歯科衛生士といった専門家が早期に発見することが可能になります。もし何か問題が見つかったとしても、それがごく初期の段階であれば、治療が必要になった場合でも、歯を削る量を最小限に抑えられたり、より簡単な処置で済んだりするケースが格段に増えます。
発見が遅れて症状が進行してしまうと、歯を抜いたり、神経の治療をしたりといった大がかりな処置が必要になり、治療期間や費用、そして身体への負担も大きくなってしまうこともあります。定期的な専門家のチェックは、こうした重篤な状態へ進むリスクを最小限に食い止めるための重要なステップです。結果として、治療に伴う痛みや不快感を軽減し、時間的・経済的な負担も軽くすることが期待できます。
メリット③:身体の健康に繋がる
お口の健康は、歯を守ることだけではなく、体全体の健康とも深く関わっています。近年の研究から、歯周病が糖尿病や心臓病、脳卒中、そして誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)といった、全身のさまざまな病気と関連があることがわかってきました。これは、お口の中にいる細菌や、炎症を引き起こす物質が血管を通じて体全体に影響を及ぼすためと考えられています。
そのため、予防歯科でお口の中を常に清潔に保つことは、これらの全身の病気にかかる危険性を減らすための有効な手段と考えられます。
予防歯科の口腔ケアについて
これまで予防歯科の重要性や、たくさんのメリットについて見てきました。では、実際に予防歯科ではどんなことをするのでしょうか。ここからは、予防のために行う具体的なケアについて、もう少し詳しくご説明していきます。
予防歯科のケアには、大きく分けて2種類あります。1つは、歯医者さんで歯科医師や歯科衛生士といった専門家がお手伝いする「専門ケア(プロフェッショナルケア)」です。そしてもう一つは、ご自身がお家で毎日コツコツと取り組む「毎日のケア(セルフケア)」となります。 この2つのケアを、両方ともしっかりと行うことが、お口の健康を長く守っていくために、非常に大切なポイントです。
専門ケア(プロフェッショナルケア)
歯科医院で定期的に受けていただくプロケアは、ご自宅でのケアではどうしても手が届きにくい部分をカバーし、お口の状態を専門的な目でチェックするために不可欠です。
定期検診・歯科医師によるチェック
一定の期間ごとに歯科医院に来ていただき、歯科医師がお口の中全体の様子を丁寧に診察します。虫歯がないか、歯周病が進んでいないか、以前に治療した詰め物やかぶせ物に問題が起きていないか、また、かみ合わせに変わりはないかなど、こまかく確認していきます。時にはレントゲン写真を撮るなどして、外からでは見えない部分の状態も確かめます。ご自身では気づきにくいような小さな変化を早い段階で見つけることは、将来の大きなお口のトラブルを防ぐために、とても大切な一歩となるのです。
PMTC
専門のトレーニングを受けた歯科衛生士が、特別な機械や専用のクリームなどを使って行うクリーニングです。歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)の中など、毎日の歯みがきだけではなかなかきれいにしにくい場所に残ってしまったプラーク(歯の表面につくネバネバした汚れ)や、細菌が作った膜のようなもの(バイオフィルム)、そしてコーヒーやお茶、タバコのヤニなどが原因の着色汚れを、隅々まで取り除いて歯の表面をツルツルに磨き上げます。受けた後は、歯の表面がなめらかになり、お口全体がとてもさっぱりするため、多くの方が「気持ちが良い」と感じられます。痛みを感じることはほとんどなく、ゆったりとした気持ちで受けられるケアの一つです。
レイクタウンデンタルケアクリニックでは、予防歯科の一環としてPMTCを行なっています。詳しくはレイクタウンデンタルケアクリニックのPMTCをご覧ください。
スケーリング(歯石取り)
歯の表面についたプラーク(ネバネバした汚れ)が、だ液の中に含まれるカルシウムなどで石のように硬くなったものを「歯石(しせき)」といいます。歯石の表面はザラザラしているため細菌がくっつきやすく、歯周病を悪化させてしまう原因の一つにもなります。スケーリングは、「スケーラー」という専用の機械や器具を使って、歯にしっかりとくっついた歯石を丁寧に取り除いていく処置です。歯石の付き方や歯ぐきの状態によっては、少し響いたり、チクッとしたりする感じがあるかもしれませんが、できる限り刺激を少なくするように注意しながら行います。
フッ素塗布
歯の表面に、虫歯になりにくくするお薬(フッ化物)を塗る処置です。フッ化物には、歯の表面を硬くして、虫歯の菌が出す酸に溶けにくくする働きがあります。この働きによって、歯が丈夫になり、虫歯に対する抵抗力が高まることが期待できます。特に、生えてきたばかりの永久歯や、歯ぐきが下がって見えてきた歯の根っこの部分(歯根面)の虫歯を防ぐのに役立つといわれています。
ブラッシング指導・セルフケアアドバイス
お一人おひとりのお口の中の状態や歯ならび、いつもの歯みがきの仕方などを見させていただき、その方に合った歯ブラシの選び方や、正しい持ち方・動かし方などを具体的にお伝えします。また、歯ブラシだけでは届きにくい場所の汚れを落とすための、歯間ブラシやデンタルフロス、マウスウォッシュ(洗口液)といったお助けグッズの効果的な使い方も、分かりやすくご説明します。「自分の歯みがきのやり方、これで大丈夫かな?」「フロスって、どう使えばいいのかよく分からない…」といった日頃の疑問や不安な点にもしっかりとお答えして、毎日のご自宅でのケア(セルフケア)がもっと上手になるようにサポートします。
毎日のケア(セルフケア)
歯科医院での専門ケア(プロフェッショナルケア)の効果をできるだけ長持ちさせ、お口の良い状態を保つためには、毎日のご自宅でのセルフケアがとても大切になってきます。
具体的には、
- 毎食後、丁寧に歯をみがき、歯と歯の間や歯ぐきの境目にたまりやすいプラーク(歯の汚れ)をしっかり取り除くこと。
- 歯ブラシだけではどうしても届かない、歯と歯の間や奥歯のすみずみは、デンタルフロスや歯間ブラシといったお助けグッズを使ってきれいにすること。
- 虫歯の原因になりやすい甘いものを食べる回数を工夫したり、時間を決めずにだらだらと食べたり飲んだりする習慣を見直したりすること。
などが挙げられます。
こうした毎日の生活の中でのちょっとした心がけと実践が、ご自身のお口の健康を守る大きな力となっていきます。
「自分でのケアは、ちゃんとできているか自信がないな…」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、どうぞご安心ください。当院のブラッシング指導などをご活用いただければ、お一人おひとりに合ったケア方法を一緒に見つけていくお手伝いをします。
予防歯科の費用について:保険診療と自由診療
予防歯科に興味を持っていただいた方が、やっぱり気になることの1つに「費用はどれくらいかかるのかな?」という点があるかもしれません。「保険は使えるの?」「全部、自由診療なのかな?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
実は、予防歯科で受けられるケアには、健康保険がきくものと、そうでない自由診療となるものがあります。
保険診療の予防ケア
虫歯や歯周病の「治療」の一部として行われる検査や処置には、基本的には健康保険を使うことができます。
例えば、歯周病の検査や、歯周病を悪化させる歯石を取るスケーリング(歯石取り)などは、病気の進行を止めるための治療と考えられるため、保険診療の範囲で受けることができます。
費用はおおよそ3,000円〜5,000円あたりで収まることが多いです。
また、虫歯のチェックや、ほんの初期の虫歯に行うフッ素塗布なども、保険が使えることがあります。
自由診療の予防ケア
一方で、今ある病気を「治す」ことだけが目的ではなく、お口の健康状態をさらに良くしたり、もっと隅々まできれいにしたりするための特別なケアは、自由診療となるのが一般的です。
その代表的なものとして、歯科衛生士が専用の機械とクリームを使って歯の表面をピカピカに磨き上げるPMTCがあります。
これは、歯の着色汚れを落として本来の自然な白さに近づけたり、歯の表面をツルツルにして汚れが付きにくくしたりするなど、見た目の美しさを大切にしたい場合や、より質の高いお手入れを続けたい場合に選ばれることがあります。
自由診療の費用は、歯科医院ごとに違います。
保険診療ではないので費用は数万円はかかる想定で考えておいた方がいいでしょう。
このように、予防歯科にかかる費用は、どんな目的で、どんなケアを受けるかによって変わってきます。保険診療で基本的な予防を行うことはできますが、もっと丁寧なケアを受けたい、見た目の美しさも気になる、といった場合には自由診療という選択肢もあるのです。どちらのケアがご自身のお口の状態や希望に合っているか、一度、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士に相談してみることをおすすめします。
長い目で見てみると、定期的な予防ケアのためにかかる費用は、もし虫歯や歯周病が悪化してしまった場合の治療(歯を抜く、神経の治療、かぶせ物、入れ歯、インプラントなど)にかかる大きな費用と比べると、結果として少なく済む場合が多いと言われています。「将来の自分への、かしこい投資」と考え定期的な予防ケアをすることおすすめします。