予防歯科

歯磨き剤のフッ素とは何? 歯への効果と危険性、テフロン・PFASとの違いを解説

歯磨き剤のパッケージや歯科医院で見聞きする「フッ素」。名前は聞いたことがあっても、「そもそも何なのだろう」「何のために使うのだろう」と、よく分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こんにちは。越谷レイクタウンの歯医者、レイクタウンデンタルケアクリニックです。

今回は、フッ素とは何か、歯にどのように働くのかという基本から、毎日の歯磨きでの使い方まで順番にご説明します。歯磨き剤を選ぶときや、ご自身の歯を守るために何か始めたいと思ったときの参考にしてください。

歯磨きでよく聞く「フッ素」とは?

歯磨きに使うフッ素は「フッ化物」

歯磨きでいう「フッ素」は、虫歯を予防する目的で使われる成分です。歯磨き剤に配合されているほか、歯科医院で歯の表面に塗る方法でも利用されています。

正確には、フッ素という元素がほかの元素と結びついた「フッ化物」を使います。歯磨き剤の成分表示にある「フッ化ナトリウム」「モノフルオロリン酸ナトリウム」などがその仲間です。「フッ素入り歯磨き剤」や「フッ素塗布」は、このフッ化物を利用したものを指しています。

テフロンやPFASと同じもの?

テフロンで知られるフッ素樹脂は、PFASという物質のグループに含まれますが、歯磨き剤のフッ化物とは別のものです。同じフッ素という元素を含んでいても、物質の性質は異なるため、PFASについて報じられる健康への懸念が、そのまま歯磨き剤にも当てはまるわけではありません。

歯磨き剤に使われるフッ化物は、安全に虫歯予防に役立てられるよう、予防効果と安全性の両方を踏まえて、年齢ごとに使用する濃度と量の目安が定められているものです。

では、歯磨き剤に使われるフッ化物は、どのように虫歯を防ぐのでしょうか。

フッ素を使うと、歯にどのような効果がある?

歯の修復を助け、虫歯になりにくくする

食事や間食で糖分がお口に入ると、歯垢の中の細菌がそれを使って酸をつくります。この酸によって、歯の表面からカルシウムなどの成分が溶け出しますが、唾液には失われた成分を補う働きもあり、歯は日々「溶け出すこと」と「戻ること」を繰り返しています。

フッ化物は、この成分が戻る働きである「再石灰化」を助け、歯を酸に溶けにくくします。また、細菌が酸をつくる働きを抑える作用もあります。歯磨き剤に配合されているのは、こうした働きによって虫歯の発生や進行を防ぐためです。

穴が開いた虫歯を元に戻せるわけではない

「歯の修復を助ける」と聞くと、できてしまった虫歯も治るように感じるかもしれません。ただ、再石灰化による改善が期待できるのは、まだ穴が開いていない初期の段階です。すでに歯の形が崩れて穴が開いている場合、フッ化物だけで失われた部分が再生するわけではありません。

痛みや、食べ物が同じ場所に引っかかる感じがあるときは、歯磨き剤で様子を見続けず、まず歯の状態を確認しましょう。

歯の根元の虫歯予防にも役立つ

フッ化物配合歯磨き剤は、歯ぐきが下がって歯の根元が露出した部分にできる虫歯の予防にも役立ちます。成人・高齢者にも使用が推奨されており、毎日の歯磨きを通じて歯を守る方法の一つです。

フッ素入り歯磨き剤は、何ppmを選んでどう使う?

年齢に合ったフッ化物濃度と使用量の目安

容器の「1,450ppm」などの表示は、フッ化物イオンの濃度を示しています。ppmは濃度の単位で、1,000ppmは0.1%に相当します。数値だけで選ぶのではなく、使う人の年齢と、歯ブラシに出す量を合わせて確認してください。

日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会の合同提言では、次の使い方が示されています。

年齢フッ化物イオン濃度の目安1回の使用量
歯が生えてから2歳900〜1,000ppmF(上限推奨)米粒程度(1〜2mm)
3〜5歳900〜1,000ppmF(上限推奨)グリーンピース程度(5mm)
6歳〜成人・高齢者1,400〜1,500ppmF歯ブラシ全体(1.5〜2cm程度)

※ppmFは、フッ化物イオンの濃度を表す表記です。歯ブラシ全体の目安は、植毛部が約2cmの歯ブラシを想定しています。

大人が店頭で選ぶなら、例えば「1,450ppm」の表示が一つの目安になります。一方、2歳以下と3〜5歳では濃度の目安は同じでも使用量が違うため、家族で使う場合も、それぞれの年齢に合わせましょう。

大人の濃度は目安に対して、子どもの使用量・濃度は900〜1000ppmFを推奨しています。これは、歯がつくられる時期にフッ化物を過剰に飲み込む状態が続くと、歯の表面に白い斑点などが現れる「歯のフッ素症」のリスクが高まるためです。

使う回数と、磨いた後のすすぎ方も確認する

フッ化物配合歯磨き剤は、就寝前を含めて1日2回使うことが推奨されています。3歳以上では、磨いた後に歯磨き剤を軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回にとどめます。

何度もすすぐと、歯に作用させたいフッ化物も洗い流されやすくなります。余分な歯磨き剤は吐き出し、その後はすすぎすぎないようにしましょう。お口に残すために、飲み込む必要はありません。

飲み込みを抑える工夫と、子どもが使うときの注意点

小さなお子さんには、保護者の方が年齢に合った量を出してあげましょう。歯が生えてから2歳までで、まだ上手に吐き出せない場合は、米粒程度の量を守り、磨いた後にティッシュなどで歯磨き剤を軽く拭き取ってもかまいません。

使い終わった歯磨き剤は子どもの手が届かない場所に保管してください。大量に飲み込んだ場合や、飲んだ量が分からず心配な場合は、無理に吐かせず、製品の容器を手元に置いて医療機関や日本中毒情報センターに相談しましょう。

歯医者からの一言
フッ素の使用に不安があるときは、無理に取り入れる必要はありません。お子さんの歯の状態や普段のケアを確認しながら、使うかどうかも含めて、無理なく続けられる予防方法を一緒に考えていきましょう。

毎日のフッ素に加えて、自分に合った虫歯予防を

歯の磨き方や食習慣も含めて、予防方法を考える

フッ化物を取り入れても、それだけで虫歯を完全に防げるわけではありません。歯垢を歯ブラシやフロスなどで取り除くことに加え、甘いものを少しずつ食べ続けたり、糖分を含む飲み物を長時間かけて飲んだりする習慣も見直したいところです。酸がつくられる機会が多いと、歯の修復が追いつきにくくなります。

「フッ素は何だろう」と気になったことを、普段の歯磨きを見直すきっかけにしてみてください。使っている歯磨き剤の名前や、気になっている情報が分かれば、歯科で相談するときにも疑問を具体的に伝えやすくなります。

埼玉県越谷市の歯医者、レイクタウンデンタルケアクリニックでは、定期検診やブラッシング指導などを通じて、毎日のケアをサポートしています。フッ素の使い方に迷うときも、お口の状態と普段の習慣を確認しながら、無理なく続けられる予防方法を一緒に考えていきましょう。

監修 レイクタウンデンタルケアクリニック 院長 伊藤 宏太郎

日本抗加齢学会専門医 / 日本補綴歯科学会会員 / 日本口腔インプラント学会会員 / 青葉臨床研究会会員 / 日本抗加齢医学会会員 / 日本抗加齢医学会専門医 / 抗加齢歯科医学研究会会員 / 鶴見大学歯学部非常勤講師